ガジュツ、紫ウコンについて、概要や違いを解説します。

ガジュツ・紫ウコンとは?

江戸時代より使用されてきた生薬ガジュツ

  ガジュツは熱帯アジアを原産とするショウガ科植物の根茎で、中国明時代の生薬研究の書にも上薬として収載され、古来より珍重されてきました。
   ガジュツのわが国への渡来の歴史ははっきりしませんが、関ヶ原の戦いで猛将としてその名を馳せた薩摩藩主島津義弘公が、 1603年(慶長8年)種子島家の十六代当主種子島久時公にガジュツの薬方を伝授したとの記録があります。
   ガジュツは、以来、明治に至るまで種子島・屋久島の重要な産物(御禁製品)としての扱いを受けていたことが諸文献に明らかにされています。
   その後屋久島の民間薬として細々と使用されてきたガジュツは、昭和8年頃、胃腸薬の主薬として世に送り出されるに至り、ふたたび屋久島の重要な産物となりました。

優れた成分を含む屋久島のガジュツ

  ガジュツの薬効は精油にあります。屋久島ガジュツはその精油を多く含み、特にシネオール・カンファーなどの殺菌、防腐作用を持つ芳香成分であるモノテルペン類と、最近の研究で優れた抗炎症作用を持つことが解明されたデハイドロクルジオンをはじめフラノゲルメノン、フラノジエノン、クルツェレノンなど、薬効の主役とも言えるセスキテルペン類の含有量が高いことが明らかになってきました。

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ガジュツとウコンの違い

  ガジュツもショウガ科クルクマ属の植物で、紫ウコンとも呼ばれます。ガジュツは、見た目ウコンとはあまり変わらないのですが、輪切りにしてみると、その違いがわかります。ウコンの切り口は黄色ですが、ガジュツの切り口は紫色をしています。その色の違いはというと、それは、クルクミンのがあるかないかなのです。黄色い色素成分であるクルクミンはウコンには含まれていますが、ガジュツには含まれていないのです。
  しかし、ガジュツにも多彩な薬効を生み出す精油成分(芳香のある揮発性の油成分)が豊富にあります。代表的なものでいうと、シオネール、カンファー、アズレンなどです。
  ガジュツは薬効としては、ウコンよりも少し強いとされています。しかし、苦味が強いため、健康食品としてウコンほど人気が無いようです。ところが、ガジュツとウコンを併用することにより、働きがさらに高まることが経験的に知られています。それは、ガジュツに含まれる精油成分のうち、アズレンは潰瘍や炎症を改善したり、胃液の過剰な働きを抑えたりする働きがあり、カンファーには胃の働きをよくする健胃作用があるからです。
  また、胃・十二指腸潰瘍の主要な原因と考えられているのが、ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)ですが、胃・十二指腸潰瘍の患者さんにガジュツを使ったところ、ピロリ菌が消滅し、潰瘍の再発も見られないと報告され、ガジュツはピロリ菌除去に一定の効果を発揮することが確認されています。
  この効果はガジュツに含まれるシオネール、カンファー、アズレンなどの精油成分によるものだといわれています。そして、ウコンとガジュツを一緒にとることにより、薬効がさらに高まることが確かめられています。

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